ぎんもくせいのかけら
来て 見て 触れてみて
いま すぐ わたしに
ここは地獄だよ
地獄だよ ふたり だけの
ここは地獄だよ
もう戻れないのさ
あの日に
海の見える坂の町に広がるニュータウン
それは高度経済成長が築き上げた
鉄筋コンクリートのカタコンベ
需要の無くなった学び舎は全て取り壊され
老人ホームとリハビリセンターに
人気の無いショッピングモールで閑古鳥が鳴き叫び
葬儀屋と火葬場だけがいつだって順番待ち
ふたりで歩いた銀杏の並木道
坂の上で夜風に当たりながら見下ろせば
そこには煌々と輝くまるで海のような集合住宅の灯が
だが今はそれももう無くなってしまった
抜け殻のような街で
抜け殻のような貴方と
瞼の裏の思い出だけをなぞりながら生きる
そんな事に一体何の意味があるのか
だがそんな事ももはやどうでも良くなってしまった
懐かしい花の香りがする
潮風に乗って漂う甘い花の香りが
坂道を降りた先にある
何もしないままずっと見詰め合っていた海浜公園に
ねえ 貴方 起きて
ねえ 目を覚まして
あの日、ふたりの他には何もなくて ただ
銀木犀が揺れているだけ
銀木犀が揺れているだけ
来て 見て 触れてみて
いま すぐ わたしに
ここは地獄だよ
地獄だよ ふたり だけの
ここは地獄だよ
もう戻れないのさ
あの日に
銀木犀が揺れているだけ
ねえ
ぎんもくせいのかけら作曲:原田忠
作詞:蜂鳥あみ太=4号
演奏:カリハサト[原田忠(acc)+大須賀聡(gt)]
通販:ぎんもくせいのかけら収録アルバム蜂鳥あみ太=4号とカリハサト「SFC(すこし・ふしぎな・しゃんそん)」
Spotify:SFC(すこし・ふしぎな・しゃんそん)
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